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社会福祉法人 福寿会 理事長 梶木さん、事務局長 長瀬さん と施設の改革についてお話を伺いました。

 

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3.これからのこと

司会

利用者のご家族との関係はどのように作っていますか?ほかの法人さんでは転倒骨折だとか飴をのどに詰まらせて訴訟になったりとか、そういう事例が出てきていますが。権利意識が強くなる今後について少しお話をお聞かせ下さい。

剱持

この話も身近で聞いたものですが、飴玉も利用者同士で自由にあげたり、貰ったりできない。という・・制約がますます出てくると申しましょうか?なんか・・切ないですよね。また、家族会の代表の方に聞いた話ですけど、普段面倒を見ている家族の人は苦労を知っているだけにあまり難しい事は言われないけど、普段遠くにいる家族はすごく厳しい事を言われると聞きました。家族会代表もそれは「絶対良くないから何とかしないとな。利用者と事業者の関係は水平関係ではないといけない。」と強く言われていました。

長瀬

いろんな情報がネットとかで自由に取れるようになって、バーチャルでは色々考えられるけど、自分で体を動かしてお年寄りと直接関わったか 関わってないかで理解力と言うのが全然違っています。権利と義務の中で権利だけを主張してくるという事があって、確かにこれからは団塊の世代が入ってきてご本人が権利をものすごく主張してくると思います。

剱持

家族の方だけじゃなくて。

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長瀬

そうですね。だから、私は「介護とは究極のサービス業」と言っているんですが、今までは何かをしてあげると、ご本人は「ありがとうございます。」と言ってくださる。しかし、これからはご利用者さん自身が「あれがしたい。」「これがしたい。」「あそこの施設に移りたい。」という事をはっきりと言う時代になっていくので、今までと同じやり方をしていたのでは職員は到底ついていけない。クレームばっかりになっていくと思います。

剱持

確かに「家賃6万も払ってトイレも無いのか。」とか「食費4万5千円も払っているのにこんな不味いものしか食べさせないのか?」とかいう事が出てくるでしょう。本当に今後大変と思うんですけど・・
施設側もこれから選ばれる時代に入っていくのに、残念ながら自覚が足らず『安ければいい』と、ごくごく単純にとらえている節がありますね。

長瀬

一般企業は元々そういう中で競争しながらやってきてサービス業のノウハウとかやり方とかいうのは決して間違ってはいない。淘汰されますから。必要とされればそのまま大きくなっていくし、維持されていく。
ただ、社会福祉法人の場合 一般のサービス業と違って収益が上がれば良いというだけじゃなくて、そういうところではない対価というのが出てきます。収益の中で地域に再貢献する事でお金を回していく。両方のセンスを持っておかないとこれから選択の時代になっていくと淘汰されてしまう。ニーズはものすごく細分化されて、それにどう応えるかで選択されてしまう。あそこの施設には行きたくないというのは明らかにでてくるでしょうね。ただ値段勝負になってしまうと必ず限界が出てくる。その時に何が犠牲になるかと言うとサービスの部分が犠牲になる。物を提供している訳ではなくサービスを提供している中ではきちんとニーズに応える必要もあるし、一人ひとりの職員が人間力をつけなければいけないし、一般常識の中でいろんな世界を知っておく必要も出てくる。利用者から教えていただくことを敏感にキャッチしていく必要もあるんです。

剱持

わたしたちも設計事務所の立場ですが今後の時代を見据えたことを提言していっているんですが、なかなか理解されないというか・・『たかが設計事務所が生意気とか、建築コストが高くなる。』とか・・色々言われていると。噂で聞きました。僕は利用者本位という当たり前のことを言っているだけなんですけど・・・本当に特に岡山では都会と違い施設がたくさんあるから先を良く見据えたものを考えるべきだと言っているだけなんですけどね。

梶木

剱持さんの設計は暖かくて雰囲気よくて、床の工夫や断熱性など利用者にとってメリットある設計をしてくれているだけで『うん?生意気・・でも施工費を抑えるために真面目に努力しているし』そんなことは感じたことはなかったけど・・・

司会

しかし、スタッフの立場に立つと自分たちの力を試されるけど、やりがいもあるでしょうね。

長瀬

結局いま残っているスタッフはそうでしょうね。自由にしなさいと開かれると何をして良いか分からない。2年くらい経ってやっと「自分たちがしたい。」「これは問題だ。」という事がやっと出てきた。本来はこれからなんだと思います。好きにして良いと言われると困りますもんね。

剱持

でも、何らかの方向性は無いと難しいでしょう?

長瀬

我々の方向性は簡単なんです。「利用者の満足」です。やろうとしていることが正しいかどうか利用者様本人に決めて頂きます。

剱持

どこの世界でもあるビジネスの基本ですね。そのあたりまえのことが措置の時代から継続してやれてなかったことが多いですもんね。

梶木

わたしたちの理念は「三つの満足」という事でやっています。

長瀬

1つ目が「ご利用者、ご家族の満足」。2つ目が「職員の満足」。3つ目が「地域の満足」。この三つで「三つの満足」という事でやっています。ご利用者とご家族が満足していただくことが職員の満足に、ご利用者と職員の満足が成り立った時点で初めて地域に必要とされる施設になるというのが地域の満足。
この1,2,3という順番が大切だと思っています。だから職員はご利用者にいかに満足していただくかという事を絶えず考えて行動すれば、そのやり方というのはいろんなやり方があるし、自由にやっても良いよというのがあります。

理念に対して何をしなければいけないのかというと、3つそれぞれに対しての信頼関係の構築というのが我々の取り組みです。それから相手を裏切らない。騙さない。隠さない。というのが、社会福祉法人としてのコンプライアンスであり、ガバナンスをきちんとやっていく。透明化を図っていく。簡単に言うとこの前のお祭りもそうですが、地域の人も巻き込んで当然なかに入って来てもらっても良いですし、前は何時から何時までは中に入れませんというのもあったのですが、家族の事情を考えれば仕事が終わったあとちょっとのぞきに来たいという人に対する対応。24時間施設なんだから対応できるに決まっているじゃないですか。当たり前の事なんですが、自分たちの都合ではなくてご利用者さんやご家族の都合で考えられるようになると当たり前の事が当たり前に出来るようになる。そこを今ひとつずつ変えていっている状態です。それが他の方から見て前より良くなったかなというところだと思います。我々自身はまだ満足していません。

剱持

やはり究極には利用者の笑顔が答えと思います。それがあるから間違いなくよくなっていると実感しています。

司会

一般的にはご利用者様と施設との関係だけで留まっている所が多いと思うんですが、地域に対する視点というのは先進的と感じるのですが、いかがですか?

長瀬

どんな商売でも近くに同じ商売をしているところがあって、その中でここじゃないといけないという風に選んでいただくためには、必要とされるものが無いと。今までは社会福祉法人というのは地域があって棲み分けが出来ていて、ここのエリアでは嫌でもここしかないという世界で生きてきたけど、これからは高専賃や代替的なものがどんどん出来てきたので、棲み分けではなくて、それでもここが良い、ここじゃないとだめだと言う存在にならないといけない。

我々は高齢者に特化してやっているんですが、社会福祉法人として福祉の拠点となる為には「福祉とはこの地域では何か」という事は絶えず考えておかないといけない。その為にはこの地域の福祉の拠点で、地域をつなげて行こうというところが最終的な目標です。そうすれば必要とされる。今は元気だけど歳をとってもあそこがあるから大丈夫という安心感も大切でしょうし。

剱持

具体的取り組みは長くなるので、特に今後どのような施設を考えれば地域に貢献できるとか・・・?今度じっくり話を聞かせてください。

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長瀬

わかりました。じゃあ~簡単に概略だけ・・たとえば特浴の装置も3台くらいありますけど、せっかくあるのに介護保険どうこうで使えないというのももったいない。介護保険使えずに家でシャワーだけ浴びているという人も目に見えないだけで沢山いる。そこも含めて今は「ボランティアさん来てください。」という状態ですけど地域の人が自然に集うようになれば地域も巻き込むことになるし、理屈じゃなくて実践をしていかなければいけないと思います。それが最終的には新たな事業に結びつけばと思います。

その為には既存の介護保険事業はきちんと収益を上げていかなければ、そういうことに使えるお金も無いというのが今の実情です。だから今の既存の利用者さんにきっちり満足していただくというのが、大切だと思っています。

司会

地域と言うのはどれくらいの範囲を想定されていますか?

長瀬

具体的には吉備陵南地域。生活圏域です。町の中にある福祉施設という事もあります。岡山と倉敷の中間のベットタウンなので、これからはニーズがあると思うので、それを受けれるだけの準備をしておかないといけないと思っています。

剱持

先ほども言いましたが私もこの学区の住人なので、がんばっていただかないと困るんです。
本当に期待しています。

司会

本日はありがとうございました。