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岡山で「認知症の人と家族の会」の代表として、ご活躍されている妻井さんと、福祉施設についての現状と問題点などのお話しをしました。

妻井さんプロフィール(←クリック)

2.ユニットケア研修 図面の読み方を学ぶ

剱持

おそらくこのような資料ですね。先ほどは福岡市の公募だったんですけど、こちら。井上さんという、きのこさんもよく知っている研究者なんですけど、ユニットケアの研修で、各行政を集めて、どういう建物をしないといけないかというのを、講義している資料です。まあある行政の介護保険課の方もなんですが、この文章があるでしょう。
「居室は…、当該ユニットの共同生活室に近接して、一体的に設ける。一ユニットの入居定員は、おおむね10人以下。」
この文章があるから、プライバシーのないタイプが一番正しい姿だと思い込んでるんです。

妻井

ほう。思い込んでる。

剱持

でも、先ほどのプランでもプライバシーのないタイプが通っていましたから、多分、大方の行政の方もそうじゃないかと思うんですけど。

妻井

それでいくと、さっきの福岡市もだな。

剱持

そうですね。福岡市は、これがいいとはっきり出してますからね。

妻井

建築指導はどのようにしているのか?聞いてやらないかんな。

剱持

それで、つづきですが、これは夜勤2ユニット一人でという資料ですね。これは分かってますね。

妻井

これは分かる。

剱持

これは、フロアのユニット数を偶数にする。これも分かりますね。夜勤のとき2ユニットを1人で見るから、1,3,5でつくると困る。偶数で見ますから。常識ですね。

妻井

奇数じゃ困るわな。(ユニットとユニットの関係性資料)職員のパスを設ける場合の注意点というのは、どういう意味?

剱持

夜勤のときに、1人で2つのユニットを見るときに、近すぎると結局大規模なユニットと同じになってしまうので、その辺を注意するようにという。

 
妻井

なるほどな。独立させて、分離しとるほうがいいよという。そりゃそうじゃな。こういうことか。わかるわかる。

剱持

でも悪い例でユニットリビング同士を隣合わせにして、それを可動間仕切りで仕切りいざとなったら建具を開いて20人を面倒みるという特養も存在しています。

妻井

それは・・ひどい話じゃなぁ・・擬似ユニットか・・許せんな。

剱持

それがこの間、国からそのような形態はNGだと通達されました。

妻井

当たり前のことじゃ。遅すぎるよ。

スウェーデン写真
剱持

しかし、この資料もあいまいでリビングと個室の関連性を具体的にはアドバイスしていないんです。

妻井

居室は共同生活室に近接して、ん?

剱持

だから近接というのがこういうことですよ。(刑務所タイプ)行政の彼らは移動があるのだから、はっきりこのパターンはNG、これは推奨だと資料にある程度書き込んで欲しいと頼み込みました。24年度の資料ははっきりプライバシーのないプランはNGと資料に付け加えるとおっしゃっていました。

妻井

なるほど。ほんと?バツをいれないと、悪い例が一人歩きするな・・・
次の例は?

剱持

これは(廊下を介するタイプ)、良い例ということで出てるんですけど。これに、僕の場合は目隠しをすると思いますけど。このタイプの欠点はリビングが廊下を取り込んでいるから・・これまた住まいにはふさわしくないスケールになるんです。それから、これ(リビング以外の交流スペースがあるタイプ)中央に共同生活室をおいて、居室が囲むんじゃなくて、こういう(廊下をかいする)形にすることで、談話スペースをもうけてこれも、良い例。

妻井

さまざまな居場所つくりがあるから良い例じゃな。うん。それから?

剱持

ということで、つづいて廊下幅ですね。片廊下1.8m、中廊下2.7mという昔ながらの基準が、まだ生きているんですが。ただし。、アルコーブがはいることで、緩和されるという。

妻井

アルコーブってなんや?

剱持

アルコーブはですね、(麻布図面)お部屋の前に大体皆さん、トイレを設けられるんですね。(プランを描いて説明)こういうお部屋が続いていくんです。

スウェーデン写真
スウェーデン ナーシングホーム
妻井

はいはい。

剱持

このお部屋の前にくぼみができるでしょう?これがアルコーブって言うんです。これがあれば、廊下幅2.7mが1.8mに変えることができる。

妻井

できる。ほう。それがあると、できるわけか。

剱持

そう、できる。そういう特別なルールがあるわけです。でもこれは、普通に考えたら結構大きなスペースになることがあって、また無駄な部分になっちゃう。

妻井

ほう、大きいなあ。無駄ではあるな。

剱持

で、僕が麻布でつくったのが日本で一番狭いアルコーブ。(笑)

妻井

ああ、そう。なるほど、なるほど。

剱持

(麻布図面)僕はこういうことには注意を払いますからね。

妻井

ああそう。本当に小さい。

剱持

外山先生が考えたのは、2m位中に入っとるんですよ。だから、すっごいでかいスペースで、すごい面積の大きい施設になっちゃう。

妻井

なるわな、それは。

剱持

で、港区の人にはこれはちょっと小さすぎやしないかって文句言われたんです。

妻井

アルコーブが?

剱持

いやいや、一人当たりの面積が。このとき最終選考とき、きのこさん以外に、2つの法人さんがいたんですが、全体面積を人数で割ったときに、一つは54㎡くらいで、もう一つは60㎡位でした。

妻井

うんうん。

剱持

で、この施設が一人当たり45㎡で、あまりにも狭いとか、せこいとか言われて、でも僕は関係ないと思いますけどね。無駄な部分をつくってしまうと、家庭的なスケールから外れてしまいますから。それから、これがアルコーブという仕組みで、これがあったら、廊下幅が狭くできるんです。

妻井

なるほど、なるほど。うんうん。

剱持

で、一般的にはこういう感じでつくるんですよ。(プランを描きながら説明)こういう形で、居室の前に共同のトイレを設けるんですよ。で、ここがアルコープ

妻井

ゆとり空間という解釈ではあるんだな?

剱持

う★でも、ゆとり空間というか、トイレの前ではゆっくりできませんからね。

妻井

たしかにな。現実的ではないな。

剱持

で、ここが一般的なアルコーブ。で、これが『ちょっと工夫したアルコーブ』。

妻井

なるほどな。

剱持

東京都に散々言われましたけど。こんな狭いアルコーブがあるのかって。でも、逆にこれがあるとだだっ広くなるでしょ?面積が増えるでしょ?
だから、廊下とアルコープの入った平面図に車椅子の軌跡をかいたりして説得するのが大変でした。

妻井

そうですな。分かりました。