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岡山で「認知症の人と家族の会」の代表として、ご活躍されている妻井さんと、福祉施設についての現状と問題点などのお話しをしました。

妻井さんプロフィール(←クリック)

8.東京都安全基準

剱持

で、これが最後。これは、東京でのある建物の話です。これはこの大きさでしかないですから、下を居宅介護とか普通の貸し店舗にして、2階を小規模多機能しにして、上を普通のワンルームマンションにした場合、地方だったらこの大きさでできるけども、東京都は東京都安全条例と言うのがありまして、こういう、無駄な、無駄と言っちゃいけませんけどもスペースがいります。バリアフリー条例というのが地方でもあるんですけど。2000㎡以上からになったら地方にもバリアフリー条例というのがかかるんですけど、東京とは例え1㎡でも、デイサービスだったら、安全条例がかかるんですよ。

妻井

ほう。用地が必要になるんだな?

剱持

だから、小っちゃい小規模多機能でもかかるんです。例えば、ここにも書いてありますけど、廊下幅が大きくなるとか、ここに出ている五つの問題点があるんです。そうしたら、土地も広く、建物も大きくなります。

妻井

そうだろうね。

剱持

土地、高くて狭いところしかないのに。ここにも書いてますけど、矛盾点が出てくると。要は、デイサービスとか小規模多機能とかが、まともにできないんですね。

妻井

ほう。

剱持

土地が狭いのに、こんなことを言われたら、闇に潜るしかないんですよ。雑居ビルでやってる人も沢山いますけど。だから、逆に悪いんですよね。雑居ビルの闇でやってるところ以外では、建築基準法とか消防法の違反になります。

妻井

逆に危ないんだな。

剱持

だから、そういうところでしかできないんですよ。

妻井

気が付いていないのかな?東京は。

剱持

東京都で設計をやってる人も気がついてないんです。これが当たり前と思ってますから。僕らみたいに、地方から出ている人間は、矛盾点を感じるんです。これ、とんでもない法律だって。こんなのもあるんです。玄関を分離しろって。例えばここが普通のワンルームマンションでしょ、こっちが小規模多機能でしょ。玄関2つ、階段2つエレベーター別って、動線を分離しなさい。指導されます。これ、東京都だけです。おそらく助成金がでなくても指導するかもしれません。

妻井

ほう。

剱持

東京都が、各区役所に指導を出してる。ここにも書いてますけど、「小規模な建物で、お年寄りだけでなく、色々な人がやってきて自然と会話が交わされる…そんな施設は素敵だと思いませんか?って。この問題もなんですけど、消費者団体からでないと動かないって、大学の先生にも相談してみたんですけど・・・

東京の家族会ってどうなんですかね?

妻井

だめ。全然だめ東京は。岡山の家族会も大したことない。

剱持

岡山も・・★またまた・・・でも、東京はなんでなんですか?

妻井

ケアの原点の話なんかは、これからじゃ。

剱持

星の会は若年性と分かれてるんですよね?

妻井

そうそう。分かれとる。まあ、提携関係ではあるけども、奈良じゃないか?

剱持

いや、東京の方で一度、名刺交換してるんですが。

妻井

ああそう。東京にも会員がいるんだね。

剱持

認知症団体が乱立してるようなことはないんですか?

妻井

乱立というよりも、有識者の有名な人がおって、名目上、認知症じゃなくて高齢者なんとかかんとかの会というような、そういう形のものは沢山ある。

それから、各地でやっとるのは、行政が見るに見かねて。各地域の介護家族交流会のようなね。それは、独自で自分たちで決定して独自に動くと言うような体制ではないんだ。介護で疲れて大変だから、行政がお膳立てしたところにいって、お茶を飲ましてもらう。あるいは、交流会入らせてもらうという。それが、ほとんどだな。だから、日本の場合は、消費者団体運動みたいな独自の動きをしていくようなものではないな。けど、ハードの問題とか、ケアの技術論とかそういうことは、個人で動くことであって、組織全体で同行しようというような成熟した団体ではないな。これから、ハードの建築部会のような専門的な部会ができていったら理想と

思う。これからも頑張りますので剱持さんのほうもますます頑張ってご協力下さい。

剱持

すいません最後に家族会にとって頭の痛いお話を

妻井

ほう・・なにかな?

剱持

これからどんどん権利意識が強くなる時代に移行していくと思います。

特に東京ではいち早く利用者や家族の権利が強く要求せれていることを最近よくよく耳にしました。

妻井

モンスターか?

剱持

そうです。

妻井

モンスターはいかんよ。認知症介護と一緒で、水平関係が一番。

ところでなにか?あったの?

剱持

どうも利用者が転倒骨折したらいのですが、最初入居するときの説明不足も
あるとは思いますが、今まで面倒みていない遠くの家族が『転倒骨折は許せない。訴えてやる。』と引き続き起こったことを聞きました。

妻井

なんで?もっと詳しく教えて。

剱持

ぼくの設計も二重床でコンクリートの上に直接仕上げをしていなくて、転倒した場合

直接仕上げよりも骨折しにくいことは確かですが・・・置き床がなんともない。といえば嘘になりますし・・完全なものはありえませんし。

妻井

いやいや建築なことではなく家族のこと

剱持

すいません。とにかく入居時説明を受けなかった家族が『許せない。』一点張りです。そこの法人は歩けるから生活リハビリのために歩いていただいたためにそうなった。そうです。他法人では歩ける人にも車椅子を勧めて・・どんどん機能維持をそこなっているケースを様々な現場で見ていますが、『いったい機能低下に繋がる車椅子重視のほうが大事か?歩かせて骨折がいいのか?家族のスタンスをはっきするべきだし、言うべきと思います。』

妻井

僕の立場なら歩けるのに車椅子状態にするほうが許せないね。
この問題はどんな遠くの家族でも呼んで全てに説明しなければならないよ。
遠くの家族ほど、身近にせっして苦労していないから、好き勝手言んだよ。
これは本当によくある話らしい。僕も家族会代表として頭が痛い問題だ。
でも、何度もいうとおり家族と事業者の水平関係で信頼関係があるのがとにかく一番だよ。

剱持

僕もそう思います。

妻井

たしかに措置の時代・・年寄りや家族は『預かってくれるだけでありがたい。』

という時代が長かったけれど、今みたいな権利意識が強すぎるのも、許せない気持ちは正直あるよ。そこらへんのバランスは考えて活動はしたいと思いますよ。

剱持

長くなりましたがそろそろお開きにします。今日はありがとうございました。

では、これから一緒にお酒などを飲みに行きましょう。

   
 

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